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2007年2月25日 (日)

JSP研究所訪問記(後編)

■JSR-1020WAのスペック
『是非、聞いてみて欲しいスピーカー』とは、JSR-1020WAのことであった(下写真)。 20cmユニットを使ったシステムだ。
最初に聴いた1010ALと主要スペック比較をしたものが下記。

             JSP-1010AL            JSP-1020WA
周波数特性    55Hz~14000Hz±5dB        26Hz~5000Hz
出力音圧レベル     94dB                   90dB
最大入力        128W / 8Ω             200W / 8Ω
外形寸法     27×27×35(奥行き)センチ      45×45×50(奥行き)センチ

Jsp1020wa_1 "1020WA"では26Hzという重低音域がそのスペックの中に入っている。 この両者の差26~55Hzの領域が聴感上、如何ほどの違いになるのか。 自ずと期待が高まる。
因みに、1020WAの上には、5kHz以上の領域を受け持つツイーターが搭載されていた(二枚目の写真参照)。

■JSR-1020WAを聴く
さっそく、木村社長ご自慢のコントラバスのCDをかけ試聴を開始。  耳を澄ませ神経を集中させる。
『♪~♪♪』
即座に、音の重心が下がったことを感じた。 低域側の『底』が下がっているためだ。 表現領域が拡がったというか、丁度、車を運転していて『道幅』が広くなった感覚に近い。
ただ、中域の華やかさが1010ALほどではない。 これは、使用しているスピーカーユニットが違うので当然といえば当然か。 スピーカーの『個性』だと理解しよう。
驚いたのは、所謂、胴鳴りするような低音域が聞こえてきたとき。 その低音が非常に『シャープな音』として聞こえてきたのだ。 恐らく50Hz界隈の音ではないかと思われるが、『何というリアル感のある音だろう』というのがそのときの素直な感想。 

前編で述べた"1010AL"でも十分な低音を満喫できたと思っていたが、ハッキリ言って『次元の違う低音』だ。 要するに、"1010AL"では全く聞こえない音が、この1020WAでは聞こえてくる。
僅か"30Hz"の低音再生能力の違いが、これだけリアリティに影響を与えるとは、本当に驚いた。 思わず、木村社長を振り向き、『参りましたっ』と言葉がでた。 今度ばかりは、社長の口元が緩んでいるのが分かる。

■それにしてもこの『切れの良い』低音は何だ?
Jsp_4_2 まず、一般論として、26Hzなどという低音領域を再生するには、30cm以上の大口径スピーカーユニットが必要になる。 しかし、その大口径の宿命からか、スピード感がなくなる。 そりゃあそうだ。 あれだけの大きさの振動板を前後に動かす訳だし、物理的なストローク(振幅幅)を確保しないと重低音なんか出るわけはない。 で、結局その自重による慣性遅れにより『でろ~ん』とした音になってしまう。 つまり、低域は出るには出るが、輪郭がぼやけたものになってしまう、というのが一般的な大口径スピーカーの鳴り方だ。

一方、このJSP方式のコンセプトは、小口径のスピーカーで重低音を出そうとしているので、小口径ならではの『スピード感』がそのまま生かされているのではないか。  『音の震源』であるスピーカーに10cm~20cm程度のものを使うことにより、小気味良いストロークで、中高音ばかりか、重低音まで出すというコンセプトが功を奏しているのだろう。(...ここまで、べた褒めして良いのか若干の躊躇はあるが、1020WAからでてくる『スピード感のある、切れの良い明快な低音』を聞くと、素直にそういうコメントもしたくなる)

■スピーカーから出た音を残らず使い切る! 
確かにJSP方式のエンクロージャーは、使用しているスピーカーの口径の割には大きい。 一般的なバスレフの2倍くらいの容積はある。 重低音再生の秘密は、その容積と同心円状に配置された4つのダクト、並びにそのダクトの太さと長さにある。 試行錯誤の上、辿り着いたバランス点にこのスピーカーはあるとのこと。 そのエッセンスが、特許明細書にも”請求事項”として書かれているに違いない。
今回、このスピーカーを試聴して感じたのは、スピーカーに与えられたエネルギーを効率良く『音』として取り出している点。  つまり、スピーカーに供給された電力が生み出した空気の振動を上手く前方へ集中放出しているように感じられた。

■さながらスピーカー版八木アンテナか?
Antenna 無線を趣味としている人間には本件、ダイポールアンテナと八木アンテナに置き換えれば理解し易いかも知れない。
仮に100Wの電力をダイポールと、八木に印加しても、実際のパフォーマンスが両者では大きく違うことは明らかな事実。 ダイポールが、放射エネルギーを一点集中できないのに対し、八木アンテナは、放射パターン(エネルギー)が集中する分、前方への輻射が強い。 

JSP方式のスピーカーにも、これと近い事が言えるのではないか。 つまり、密閉型のスピーカーでは有効利用されない振動板(コーン紙)の裏側に発生した空気の粗密波が、JSP方式では位相反転した後、有効利用され4つのダクトを介し前面に吐き出されている。 その過程で、ダクトが共鳴管として作用し重低音が引き出される。 ...とまあ、あくまでも小生の推論ではあるが、そう外れてはいないかと思う。

■二つのスピーカーシステムを聴き終えて
『自分の耳で聞き、良否を判断すべし!』と、意気込んで乗り込んだJSP研究所。 言い古された言葉ではあるが、試聴後の感想を一言で表せば『百聞は一見にしかず』に尽きる。
特に重低音は実際に聴いてみないと、どれくらい凄いのか分からないが、今回身を以て体験できたのは大きな収穫だった。
木村社長によると、評判の良いスピーカーユニットを使ったからと言って、必ずしもいい音がするとは限らないらしい。 そのため、実際に鳴らしてみていい音がしたユニットと、エンクロージャーの組み合わせを商品として販売しているとのこと。 エンクロージャーに取り付けて鳴らした時の全体の音のバランスは、スピーカー本体のスペックからは見えてこない部分なので当然なのかも知れない。

個人的には、最初に試聴させて貰った10cm口径のJSP-1010ALは、非常にまとまりが良く小生のお気に入りの音であった。 ALTEC CF404-8Aの明るさが生かされていると感じた。 フルレンジの特徴でもあるが、高域がきつくないので、長時間聴いていても疲れない。  2台目のJSP-1020WAは、スペース的にも金銭的にも余裕のある人向けのシステムだが、あの窓や壁が振動するような重低音、しかもその切れの良さを聴くと、しばらくはその音が耳から離れなかった。 JSP研究所(木村製作所)の会社規模は決して大きくはないが、ユーザーを刺激する、魅力的な商品を開発しており、今後も注目してゆきたいと思う。 最後に、突然の依頼にも拘わらず試聴の機会を快く提供してくださったJSPの木村社長に感謝を申し上げる。 

;======================ここまでが、JSP訪問記===================================
いや~、まるでオーディオ雑誌の記者気取りで書いてみましたが、今回は本当に良い経験をさせて貰いました。
少しでもいい音で聴きたい。 コンサートホールや、生の音に近づけたい...。 これはオーディオを囓った人間に共通する気持ちだと思います。
音は理屈ではなく、人間の感性を相手にするものなので、難しいところがある反面、自分にハマる音に出会ったときの感動はひとしおです。

10595 世に無線とオーディオの両方を趣味にしている人は多くいます。 その方々への説明は特に必要無いと思いますが、オーディオは、無線以上に底なし沼の世界です。
無線の世界では、”最高級”の無線機を買ったところでせいぜい100万円そこらで済みます。 一方、オーディオは、○(まる)が一つ違う世界。 つまり、100万、200万円の高級品が掃いて捨てるほど(?)あります。人生をオーディオに捧げている人が沢山いますかね。 実に恐ろしい世界ですHi。 まあ、そのレベルになると、そもそもお金がないと入っていけませんけど(笑)。 

『いい音を聴くと人は嬉しくなる』 (犬も?) 
人間は、そのように出来ているのだと思います。
金をなるべく掛けずにいい音を聴きたいと願う大魔王の挑戦は続くのであります。(了)

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