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2008年3月 4日 (火)

リグ内蔵マイクアンプへの憂鬱

Imge8e2dc00zikezj 無線機メーカーは、RF段にはお金を掛けますが、相対的にAF段にはお金を掛けません。
『無線機』という製品を考えた場合、これは当然です。

お金を掛けていないと言うことは、AF段の性能も 『それ相応』ということになります。
確かに、100万円クラスの無線機では、従来以上に高価な部品が使われていますし、DX 9000では業界初のキャノン端子が搭載されているので、メーカーの努力は称えなくてはならないでしょう。 しかし、それでもAF段に関しては、オーディオ機器並みの設計レベルには至っていません。

小生が無線機のAF段に対してかねがね不満に思っている点を纏めると、以下の通りです。

1.あげたものを落とし、おとしたものをあげる
  ....『拾い物』の話しではありませんHi。   電圧レベルの話しです。 
    デジタル入力ラインを持たない一般の無線機で音づくりをやろうとすると、おおよそ次のような信号処理をします。

  ①マイク信号→②プリアンプでラインレベルにまで信号を持ち上げる→③イコライザや、コンプレッサに引き渡し信号処理
  →④アッテネータなどの減衰器を使いラインレベルをマイク信号レベルに落としリグに入力
  →⑤マイク端子に入ってきた信号を内蔵のプリアンプで持ち上げる→⑥変調器に引き渡す。

  <注釈>
  ②→③: イコライザなどの装置はラインレベルにまで持ち上げてやらないと信号処理できないので信号増幅は必要。
  ④: 無線機のマイク端子は、マイク直結での使用を前提としているので、ライン入力では信号が大きすぎ飽和する。従って信号を落とさなくてはならない。
  ⑤: 後段の変調器などに信号を引き渡す為、信号を増幅してやらなくてはならない

  と言うわけで、現状行なわれていることを簡単に纏めると次のようになります。
  『小さなものを一度大きくし、その後、小さくした後で、また大きくしている』 
  ...理不尽だと思いません? 勿論上記したように、理由があってこのようなことをしているわけですが、一度大きくしたものはそのまま使うべきです。
  その方が、増幅段、減衰段も節約出来ますし、音のクオリティ維持にも繋がります。 でも、現状はそうなっていないわけでして、そこにやるせない気持ちがあるわけです。
  これは、DX9000の問題と言うよりは、マイク入力をデジタル信号処理する手段を持たない無線機で音づくりをする場合に共通している問題です。

2.寄り道が多い
  ....買い物の話しではありませんHi。
  信号増幅そのものには関係ない様々なデバイスを経由した後、ようやく変調器に信号が到達しています。
  例えば、DX9000に於ける信号伝達のルートを公開しましょう(キャノン端子利用の場合)。 下図で"AF Unit"の範囲がそれに相当します。

9000_af_dsp

 

  ①キャノン端子→②マイクトランスTpAs203(バランス:アンバランス変換)→④アナログSW(SN74LVC2G53:以下ASW)→⑤OPアンプ(NJM2082V)
  →⑥ASW→⑦電子ボリューム(M51132FP)→⑧ASW→⑨バッファアンプ(2SC4154E x2)→⑩ASW→⑪ASW→⑫DSP基板へ

アナログSW(マルチプレクサ兼用)を何と、5つも経由しています。 アナログSWは一般的にオン抵抗が10Ωくらいありますし、半導体素子である以上これを多用すると、中を通る信号は当然劣化します。 勿論これらのデバイスは必要だから採用されているわけであり(例えばマイクの選択(リア、フロント)を行なったりする)、削除することは出来ません。
とは言え、オーディオ的に考えると、無くなって欲しいデバイスです。 

それに途中で使用されているOPアンプ、NJM2082もちょっと不満。 JRC製なので物は悪くないとは思いますが、オーディオの世界では無名に近いチップ。
せめて、オーディオ用のOPアンプを使って欲しかったなあ.....(ブツブツ......)

と、言うわけで以上を纏めると、
『一度持ち上げた音声信号は、その後、下げたり上げたりせず、また、不要な回路を経ずリグの変調器、つまりDSP機の場合はAD変換器の直前に入れてやりたい』ということに話しが尽きます。 
しかしながらメーカーは、トラブルを避ける為か、なかなかそのあたりの情報を開示してくれないのが現状であり、悶々とした日々がここ何年も続いているのであります。

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コメント

確かにあげたりさげたり・・・で音に取っては良くないことですね。プロック図にOP275を発見して「おっ」と思った次第。
でもLPFで使っているところをみると、フィルターの特性を出すためにやむを得ず・・・という感じですね。どうせなら初段やバッファに使って欲しいところです。
7800だとNJM5534(5532の1回路版)が多用されているのですが、無線機はNJMなんですかねぇ?DSPがTIだったらTIの石でも良さそうなんですが、コストの問題でしょうか?I社もY社もNJMってとはなんか匂うなぁ~。

投稿: JI1ANI 福井 | 2008年3月 5日 (水) 20時15分

書き忘れました。NJM2082Vは恐らくTL082のセカンドソースと思われます。JFET入力のオペアンプです。
http://focus.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/tl082.pdf

したがって素子としては決して悪くないし頑張っていると思いますが、確かに有名どころではありませんね。いっそのこと、バランス入力にしてしまう・・・というのが一番かも。
あ、だからマイクトランスが載せられるのか・・・失礼。

投稿: JI1ANI 福井 | 2008年3月 5日 (水) 23時35分

>I社もY社もNJMってとはなんか匂うなぁ~

同類相憐れむ、ということなのなのかなあ....
無線を趣味とする以上(性能は兎も角)心情的には、”NJM”を応援したい気持ちはあるんですけどねえ。
100万円のリグとは言え、使用している部品数は膨大ですから、やはりコスト優先の選定なのでせう...。

投稿: JA1BBP 早坂 | 2008年3月 6日 (木) 23時44分

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