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2009年1月29日 (木)

赤めだか 立川談春(扶桑社)

Akamedakaいや~、これ実に面白い本です。 久しぶりに、むさぼり読んでしまいました。

笑いあり、心に染みる言葉あり、ぐっとくる場面あり。 読書後は、壮大な物語を読み終えた時のような余韻に浸ってしまいました。

実はこの本、半年くらい前に買ったんですが、その後、書棚に置きっぱなしで買ったことを忘れていたのでした。 先週末書棚の整理をしていたら、『あ! そういえばこの本まだ読んでなかった!』というわけで再発見。 昨日と今日の通勤時間を利用して読みました。 

あ、説明が前後しますが、この本は、異能の天才落語家、立川談志門下の立川談春の著によるものです。 

一言で言うと、著屋の回想型青春記。 落語の話題から始まるかと思ったら、書き出しが、いきなり

「本当は競艇選手になりたかった」とある。

 おお、小説家並みの掴みの良さ! そして、少年時代の話からこの本は始まる。

身長が伸びすぎてしまい競艇選手としての夢が絶たれてしまった頃、折からの漫才ブームの中、演芸場で見た談志の芸に衝撃を受ける。 違う。談志は他の落語家と別格だ。以後追っかけとなり、遂には高校を中退して弟子入りすることに。16歳だった。

勢いで弟子入りしたはいいが、そこは理不尽の世界。 いきなり生活費を稼ぐために新聞配達を余儀なくされるわ、築地市場で一年間も働かされるわ。

加えて立川流は、落語協会、芸術協会所属の他の流派と違い、昇格条件が極めて厳しい。 

古典落語の持ち根多を五十席、鳴り物を一通り打てること、歌舞御曲を理解していること(踊れること)等々。 前座から二ツ目に上がる条件がこれである。

当然、この厳しい昇格条件、修行にもちこたえられる弟子は極めて少ない。(因みに、TVで活躍している立川志の輔は、談志が内弟子としてとった最初の弟子。しかも、家族持ちでありながら脱サラし28歳で弟子入りしており、驚くべき事に二年弱で持ち根多50席をクリアし、二ツ目に昇進した記録を持っている。 落語協会では通常こういう出世はあり得ない。 そうした古い慣習を嫌った談志が、落語協会を飛び出した。 因みに当時の落語協会会長は、師匠でもある小さんだった)

ま、ここで本の内容を具体的に書くと読む楽しみが減るので、これ以上書きませんが、要するにこの本は、立川談志師匠率いる立川流の内幕話、エピソード集とも言えます。 本著終わりの部分には、談志を(立場上)破門せざるを得なかった小さんとの師弟関係の機微に触れる箇所などがあり、色々と考えさせられました。 

恐らく、これを読んだ読者の大半は、落語を聞きに行きたくなると思います。 小生はTVでしか見たことがありませんが、既に寄席のチケットを探そうとしています。

それにしてもこの本は、面白かった。 かつて日本のあちこちにあった濃密な人間関係を思い出させてくれました。

因みに、『赤めだか』とは、なかなか大きくならない金魚のことです。 その意味は、この本を読めば分かります。 

立川流。 たいしたもんだ。fuji

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