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2009年2月 8日 (日)

笛吹童子の笛の音が聞こえた!

8eb6_1AmperexBugle Boy ECC88通称、笛吹童子が鳴りました。

昨日作ったYAHAアンプでのことです。

真空管の定格電圧を全く無視した環境でありながら、音がまともに出るということはこの笛吹童子は壊れていなかったことになります。

この球、eBayで中国人から購入したんですが、AT4060に取り付けて聞いたところ、雑音が多くとても使えた状態じゃなかったため、出品者にクレームを出しました。 するとこの出品者、すんなりとクレームを聞き入れ、即日Paypal口座へ返金をしてくれたのでした。 

真空管を返品したいので詳しい住所を教えて欲しい、と連絡したところ、

『この度は申し訳ありませんでした。 輸送途中のトラブルだと思います。 私はあなたからの申し出を信じます。 壊れた真空管を送り返してもらっても意味がないので、そちらで処分してください。その方が送料も掛からないのでいいでしょう』という返信が。

うっ、何と物わかりの良い人なんだ。 そういう経緯もあり、中国人を見直したのでありました。

その後、もしかしたら他のアンプでは動作するのではないかという仄かな期待を持ちながら笛吹童子を机の中にしまっていました。 そして今日、YAHAアンプに挿してみたらちゃんと動作したのです。

つまり小生は結果的に、高価な笛吹童子を中国人からタダでせしめたことになります。 うう、悪意は無かったもののちょっと心が痛みます。 (高いのよね、このタマ) 国家として謝罪はできませんが、個人的に中国人出品者に謝ります。 ごめんなさい

■さて、ここで再び疑問が。 AT4060では何故、笛吹童子は正常動作しなかったのか。

プレート電圧がたった12Vでも動作している現実がここにある。 グリッドバイアスも本質的な原因ではないように感じる。 だとすると....

ヒーター電流しかない。 

ヒーター電圧、ヒーター電流に関する6DJ86922の規格は下記の通り。

        ECC88(6DJ8)    6922

ヒーター電圧      6.3V          6.3V

ヒーター電流     0.365A         0.3A

ヒーター電圧に両者の違いはありませんが、ヒーター電流が異なります。真空管においては、ヒーター電圧か、ヒーター電流の何れかが満たされていれば動作することになっています。 このデータら判断するにECC88には6922よりも2割以上多めに電流を流してやらないとヒーターが十分に加熱しないと考えられます。

AT4060は、6922を前提に作られているためECC88(笛吹童子)に対しては十分な電流供給能力が無いのではないか? というのが現在の推論です。

そういえば、AT4060は、真空管が内蔵されている割には表面温度が余り高くなりません。 ぬるめの風呂くらいの温度にしかならないので、ヒーター温度は低いと推定されます。 笛吹童子は特に他のECC88よりもヒーター電流による影響が大きいのでは(?)

■ところで、このYAHAアンプ。 当初から気になっていたことですが、ヒーターがかなり赤熱します。 ちょっと明るすぎるし、発熱が相当ある。なんだかおかしい。でもYAHAアンプは、LM317で定電流が供給されているはずだし....。因みに、設計値は0.3A。 よし、実際にどれくらいの電流で動作しているのか調べてみよう!

というわけで、笛吹童子のヒーターラインに電流計を入れ計ってみました。すると....

480maなな、何と0.48Aも流れているではないか!!!!!  ひえ~っ。

こりゃ、景気よく赤熱するはずだ。 定格の1.5倍も電流が流れているんだもんね。 う、やばい。 これを続けると真空管の寿命が短くなってしまう。 すぐに対策せねば。

因みに今回製作したYAHAアンプでは、オリジナルの回路通り3端子レギュレータ LM317を使用しています。 原作者はこれを定電流源として動作する方式を採用しています。 そして定格の0.3Aを得るためには外付けの抵抗4.2Ωを"Adj", "out"端子間に入れるようサジェストしています。

はて? うちは今回、4.3Ωを使っているが、0.1Ωの違いは誤差範囲内の筈。 いくら何でも0.1Ωの違いで、ヒーター電流が1.5倍になるはずがない。 それに供給電圧を数Vの範囲で可変したところ電流値が結構変化する。 定電流制御にしては変化量が大きいぞ。

う~ん。 LM317が壊れているのか? いや、そんなはずはない。 

と、仕方なくYAHAアンプのPCBのパターンを追ってゆくことに。 そして回路図と、パターンを頭の中で照合しながら確認していったところ、驚愕の事実が。

....パ、パターンが間違ってる。 回路図通りの配線になっていない。 どこがどう間違っていたかは下記の図を見て貰えれば一発で分かるでしょう。

Yaha_heater_line_compareさて、原因が分かったついでに何故このようなミスが発生したかも考えてみました。

Lm_317_pinこれは回路図と、LM317のピン配置が一致していないため生じたミスだと思います。 回路図では、”Adj”端子がLM317の真ん中に描かれていますが、実際のピン配置は、左図にあるとおり一番左です。 つまり、回路図を頭にイメージしてパターン設計をした為このような間違いが生じたのだと思います。 これ、凡ミスの類に入るかと思いますが、何故間違ったのかが良く分かります。

■さて、パターンの間違いが分かったので、Jpを飛ばし正しい結線を施した後、R5の値を変えヒーター電流が0.38Aになるように調整しました(ECC88の定格0.365Aよりもちょっとだけ多めに設定)。

電源投入後、音が出てくるまで以前より時間が掛かるようになりましたが、ヒーターは暗いながらもちゃんと点灯するので問題なさそうです。  

音も聞きいてみましたが、聴感上変更前と差は感じられません。

今回初めて、笛吹童子の音色を聞きましたが、評判に違わず繊細な美しい音色を奏でてくれています。 Philips 6922とは対極にある芸術的な音です。 うっとり。

(Philips 6922は、質実剛健的な音が特徴です。 悪く言うと堅実的すぎて面白みがない)

いや~、ものを作りはじめるとと色々な事が経験できるのでいいですね~happy01

(ま、何もしないと何も起こらないわけですから、やはり何かやった方がたのしいです。当たり前ですけど)

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コメント

なかなか興味深い記事です。
出品者も素晴らしい対応ですね。
プリントパターンも信じてはいけない事があるんですねぇ~。教訓になりました。
真空管、面白いですね。

投稿: JO1KVS | 2009年2月 9日 (月) 21時51分

>出品者も素晴らしい対応ですね。

これまで”中国人商人”のイメージを頭の中で勝手に作っていたせいもありますが、真摯且つスピーディーに対応してくれたことは驚きでした。 何か機会があったらまた同じ人から買ってあげようかと思っています。

真空管は、寿命、消費電力、発熱、サイズの点で半導体には劣りますが、それ以外の点では半導体に劣る点は少ないように感じています(AF回路に於いては)。

先達が残してくれた偉大な技術遺産だとも思っています。手掛けるほどに奥が深いので当面は真空管で遊べそうですhappy01

投稿: JA1BBP 早坂 | 2009年2月12日 (木) 12時17分

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