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2009年2月 6日 (金)

『音の歴史』 早坂寿雄著(コロナ社) 

Oto

既に絶版となっているこの本をひょんな事から入手しました。

著者は、戦前から約50年にわたり、実務のかたわら色々な大学で音響学の講義を行ってきた人で、いわば泰斗。 

学生は今も昔も変わらない。数式の羅列や、理論だけでは彼らの眠気を誘うばかり。 一時間半にわたって学生たちの興味を引くために、意識的に脱線して彼らの興味をつなぎ止める努力も必要だった。 その数十年にわたる脱線の話題がこの本には豊富にちりばめられているので、ちょっと異色の書籍とも言えます。 著者自身も、本著を『脱線音響学』としたかったらしいですが。

まだ、全部を読んだ訳ではありませんが、研究者でありながら実務的なスタイル。 そのユーモアに満ちた文体は、音響工学に興味のある人を一気に引き込んでしまう力を持っています。 知識の深さ、教養の高さを感じずにはいられない素晴らしい内容です。

氏は戦前に東北帝大工学部を卒業後、逓信省電気試験所技師、日本電信電話公社理事(電気通信研究所長)を経て、沖電気の専務取締役などを歴任されています。 いわば我が国の音響学の草分けです。 それは下記の著作群を見ても分かるでしょう。

◆楽器の科学 / 1992/03 出版

◆音の歴史 / 1989/10出版

◆技術者のための音響工学 / 1986/07出版

◆電気音響学(岩波全書) / 1979/01出版

◆研究・設計・管理の実際 / 1981/01出版

◆音響振動論(通研叢書) / 1974/00出版

◆音響工学入門 / 1978/03出版

◆音響工学概論 / 1972/06 出版

さて、話を本著に戻し、ざっとその目次だけを紹介します。

【 音の歴史 早坂寿雄・著 】

■平成元年 電子情報通信学会 定価¥3090

☆ 目 次

1章 ピタゴラス哲学からニュートン力学まで

ピタゴラス哲学

楽器の発達

音の七不思議

音波現象

ニュートン力学の形成

2章 ラグランジュからレイリーまで

ラグランジュの解析力学

質点系と電磁系との等価性

ラグランジュの方程式の記号形式化

ハミルトンの原理

振動・音響問題の解析

音声・聴覚関連の研究)

3章近代音響学の幕開け

音響革命

電話の誕生

炭素送話器の出現

科学的研究の体制固め

電話の感度の増大

動作方程式の一般化

ベラネックの批判に対する再批判

線路減衰の軽減

電話出現の波及現象

耳と口の基本的データの収集

音声情報

通話試験用の電話系の実現

通話品質の定量的表現法

明りょう度の計算法

人工音声の研究)

4章音響測定

音響測定の概況

レイリー板

サーホモン

ピストンホン

静電駆動器

バイブロメータ

相互校正法

5章マイクロホンとスピーカ

電気音響学の誕生

機械音響系の解析

コンデンサマイクロホン

カーボンマイクロホン

電磁形スピーカ

ダイナミックスピーカ、マイクロホン、ヘッドホン

その他の電気音響変換機構の利用

電話用送受話器;特殊マイクロホン、スピーカ

マイクロホン、スピーカの動向

6章録音と再生

蓄音機の登場

機械式録音再生

電気式録音機の登場

SP時代からLP時代へ

アナログ方式からディジタル方式へ

磁気録音、再生

光録音、再生

7章建築音響

セービンの登場

残響現象の理論

室内音響の評価尺度

と、まあこんな具合で、実に体系的且つ広範囲にわたった内容です。

この記事を書くにあたり少しネットで調べ物をしていたら、JH3DBO 下間OMが自身のBlogで同書籍の感想を書いておられるのを知りました。興味のある方はここをどうぞ。

電気工学、電子工学が今ほど発達していない時代に先達が、如何に努力して製品を作っていったかが良く分かる名著だと思います。

あ、この書籍は”絶版”ですが、まだ”流通”はしています。 小生は、Amazonで買いました。

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