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2009年6月 3日 (水)

『何用あって月世界へ  ~ 月はながめるものである』

3165_2 などの名言、箴言で知られるコラム界の巨人、山本夏彦翁が亡くなって早7年。
このところ、ちょっとした切っ掛けからむかし買った本を読み返している。
 
久し振りに浸る夏彦ワールド。 電車の中で思わず笑いをこらえたり、頷いたり、うなったり。
はて、ところでこれはいつ頃書かれたコラムなんだろう?と思い巻末を追ってみる。 すると昭和45年頃の作品とある。
...しばし感慨にふける。
書かれた年代を知らされなければ、今書かれた新作と見まがうほどの普遍性を持った内容だ。 これも不世出のコラムニストたる所以か。
 
先週読んだもので心に残った名言を幾つか。
 
 
父よPTAに参加するな。
人前で立派なことを言う人ならば、たいていうそつきである。
年寄りのバカほどバカなものはない。
汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす。
職業には貴賎なしというがウソである。
 
事件があるから報道があるのではない。報道があるから、事件があるのである。
相田みつをの『にんげんだもの』をみると私はぞっとする。
女に選挙権はいらない。
結婚式の我が娘。他人の目にはただのお多福。
好んで自分の国を悪くいう教科書ならば良くないに決まっている。
 
しつけは体につけるもので、口で論じるものではない。
欠乏がないと人間は堕落します。
ただ生きているだけなら自分にも他人にも迷惑である。
ロバは旅に出たところで、馬になって帰ってくるわけではない。
作者は作品がすべてで、本人はぬけがらであり、カスである。
 
...タイトルだけで概ね言おうとしている事はわかるが、中身を読み込まないと誤解するものもあり、それも夏彦ワールドの楽しみのひとつ。
生前から交流のあった数学者の藤原正彦さんが、書評で実に上手いこと書いている。
 
生きているときに『半分死んだ人』と言っていた人が、死んでから『半分生きている人』となって語りかけてくる。
 
時空を超えて作者と読者が繋がるとは、このことか。 
 
(参考情報: 山本夏彦の本 ひとことで言う

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コメント

小生も仕事とは無縁ながらある事がきっかけで「室内」を一年分程古本で買い求めて、そこに書かれた山本翁の文章に触れる機会がありました。

まさに絶妙な表現でへそ曲がりな多くの読者の心を捕らえて離さない、達人技が燻し銀の輝きを放っていた様に記憶しています。

なかなかもう現れない物書きの一人でしょうね。
近づきたいが、近くに見えてそこに向かっているつもりでも、行けども行けども、翁の姿は更に向こうにあり、とても及ばない幻の様な存在なのだろうと感じる偉人の一人ですね。

投稿: ごんざえもんのすけ | 2009年6月 3日 (水) 09時40分

ごん殿

お久しぶりです。 そうですか、ごん殿も読者でしたか。しかも本業で出していた”室内”をお持ちとは通ですね。
夏彦翁、あるときは犬になったり、女性になったりと忙しい方でしたが、視点を変えつつも世の中の動きを冷徹に観察し、ユーモアを交え批評する姿は一貫していましたね。

ご存じの通り翁のコラムは、しばし難解なものがあり、初読で読み落とすこと、読み違えること、読み取れないことが多く、その意味では時を隔てて読むことにより『あ、こういう意味だったのか』と気づくことがあるので今、正にそれを楽しんでいます。

巧妙に計算され仕組まれた文章を読み解く。 ...格好良く言えばそういうことですが、内実は翁が貫いた世の体勢への皮肉と風刺、偽善への怒りに同調し『けだし名言!』と溜飲を下げているところです。happy01

投稿: JA1BBP/ 早坂 | 2009年6月 4日 (木) 06時30分

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