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2009年9月 6日 (日)

目指せ『弦さん』  ~大魔王、KOSMOS PROで遊ぶ~

Kosmos_pro このところ知人からの借用品KOSMOS PROで遊んでます。
このマシン。 何をするものかというと、ズバリ、『低域の強化』です。
 
具体的には、声のスペクトラムの中で一番低い周波数である基本周波数(F0)よりも更に1オクターブ低い成分(サブハーモニクス)を生成する装置であり、オリジナルの声に重ねることで、実際の声よりも低い音域を出すことが出来ます。 
 
こうしたサブハーモニクスを発生させる機器は、何種類か発売されています。 以前、EX-1200 (Behringer)を使用した経験がありますが、サブハーモニクスが出にくいのと、音に不自然さがあったので、数年前に処分してしまいました。
そんな中、先月、KOSMOS PROを借用することができたので評価をしているところです。
 
■外観など
価格帯が違うと言えばそれまでですが、EX-1200に比べ作りがしっかりしています。 青を基調としたカラフルなデザインも、なかなかFBで高級感があります。 SPDIF端子があるのもデジタル派には嬉しいポイントかと。
 
■サブハーモニクスを発生させるための最高周波数
 シングルトーンを入れ測定したところ約140Hzでした。 つまり、140Hzよりも低い周波数が入力されたとき、サブハーモニクスが生成されます。 別の表現をすると、生成されるサブハーモニクスの最高周波数は140Hzの半分、即ち70Hzということになります。
70Hz以下の周波数成分が出る。 まるで、若山弦蔵、森山周一郎の世界ですhappy01
 
■物事はそう簡単には...
 『70Hz以下の成分が出る』と考えると、おお、そんな低音が? 凄い!という事になるんですが、考えてみたらちょっと困った現象がおこることに気づきました。
大魔王の日中の声の基本周波数は85Hz前後。 つまりこの周波数よりも低い音は出ないわけですから、この85Hzと、サブハーモニクスの上限70Hzとの間に音声エネルギーが存在しない領域(ディップ点)が生じることになります。 実際、どういう風になるか、計測したチャートがあるので下掲します。
 これはKOSMOS PROの機能をOFFさせたときのf特。(お馴染みのシェークスピアの朗読を2000サンプリングしたときの特性です)

Sub_harm_off_v_2

85Hz付近から低域のエネルギーが低下しているのが分かるかと思います。(酒をしこたま飲んでカラオケに行った翌朝は、70Hzくらいの低い声を出せるんですた、通常はこんなものです coldsweats01)  次に、KOSMOS PROをONさせた時の特性。

Sub_harm_off_v_no_compensation

ご覧の通り領域60~70Hz付近のエネルギーが落ち込んでます。 これが上記で述べた『ディップ点』です。
 
■精神衛生の改善
 こうしたエネルギーの不均一こそイコライザで補正してやるべきです。 大魔王のポリシーとして、イコライザは"音の強調装置"ではなく、"音の補正装置"なので、この凹みを埋めるようイコライザでゲイン調整してみました。 次のチャートは、補正後のf特です。

Sub_harm_off_v_with_compensation

ご覧の通り、40Hzから100Hzにかけてのエネルギー分布がフラットです。 声楽のバス担当者よりも低い領域がでているかと思います。
 
■で、実際にサブハーモニクスを聞いてみると....
KOSMOS PROをOFF/ONさせた時の音の違いを収録してみました。 因みに、サブハーモニクス成分をあまり強くすると聴感上、不自然に聞こえるので少々抑えたゲインで収録しています。 

「sub_harmonics.mp3」をダウンロード

■結局のところ...
メーカーの取説によると、サブハーモニクス成分に位相ズレは無いとの事ですが、どうもそのようには聞こえません。 上記で紹介した収録ファイルを聞いても分かるかと思いますが、オリジナルの成分に対して位相ズレを感じます。 サブハーモニクスのリリース時間の調整もやってみたんですが、どうしても取って付けたような低域が耳に付きます。 
低域側への音の広がりを求める場合には、このサブハーモニクス機能は有効だと思いますが、HiFi追求派の要求は満たせないと思います。 ま、そもそも不自然なことをやっているんですから仕方ないんですが。
 
■地声の低い人には敵わない
サブハーモニクスが重畳されて低い成分が出るようになったとしても、元々、地声の低い人の声質には敵わないと思います。  それはどういう事かというと....
 
例えば、基本周波数が60Hzの地声の低い人が『あ~』と母音を発声した場合、60Hz,120Hz,180Hz,240Hz,300Hzといった具合に倍音が観測されます(工学的には、"高調波"に相当)。 この場合、300Hz内の領域に倍音が5つ存在することになります。
 
次に、基本周波数が120Hzの男性が、このKOSMOS PROを使ってサブハーモニクスを発生させた場合を仮定しましょう。 KOSMOS PROにより、基本周波数の半分、60Hzが生成されるので、最低周波数は上記地声の低い人の場合と同じです。 しかし、それ以降の周波数成分はオリジナルの基本周波数120Hzを基音とした倍音で構成されるので、次のようになります。
60Hz, 120Hz, 240Hz, 360Hz, ......
この場合、300Hz範囲内に、周波数成分は3つしか存在しません。 つまり、最低周波数は60Hzで一緒でも、所定周波数帯域内に存在する倍音数が両者で異なるのです。

経験論から言うと、この倍音が多いほど音の響きが良くなり、艶も出てきます。 KOSMOS PROに代表されるサブハーモニクス発生装置を使って最低周波数を下げても、倍音の数自体には変化がないので、音質面に関しては、オリジナルに対して大きな改善効果は期待できないと思います。
 
■まとめ
このKOSMOS PROは、声の重みや、迫力を増強するには有用な機材だと思います。 男子たる者、ドスのある声には憧れがありますからね~。
ただ、実際の運用(SSB送信)に際しては、低域のエネルギーが増強される分、全体的にもっそりした切れのない音調になります。 従ってこうした機材を使う際には、ソニックエキサイター SX-3040などの倍音強化装置を併用するなどして全体のバランスをとる必要があるかと思います。

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コメント

ちょいとテーマからずれておりますが・・・
MDR-NC300Dと言うノイズキャンセリングヘッドフォンを見つけたのですが、大魔王さまの事なら多分ご存知かと思い伺います。

小生このところ毎晩お散歩と称してのランニングを日々の日課の如くに楽しんでいるのですが、道路を走りながらラジヲを手放しません。

車が通るたびにその騒音でラジヲの音がかき消されるため難儀しているのです。

音は耳掛け式のヘッドフォンで聞いているのですが、この際ノイズキャンセリング機能を持つ小型のヘッドフォンなりイヤフォンが欲しいと思っているところです。

勿論ランニング中で汗に曝されるので出来れば手軽に使える安価なモノが有れば一番良いのですが・・・

今回見つけたMDR-NC300Dはちょいと高価なので小生の用途には勿体無いのですが、この様な形か耳賭け式があればと思っているところです。

もし何か適当なモノをご存知でしたら教えていただきたく思っております。

投稿: ごんざえもんのすけ | 2009年9月 8日 (火) 12時21分

ごん殿

お久しぶりです。 
夜のランニングですか。 お疲れ様です。
ランニングしながらと言うことであればイヤフォン型の方が良いでしょうねえ。 
耳全体を覆うタイプは、汗で蒸れ蒸れになりますし、走っている最中にずれたりして使いにくいと思います。

最近はイヤフォン型でも、性能が良くなってきたので狙い目かと思います。(http://kakaku.com/kaden/headphones/ma_0/s1=4/s3=1/) こんなに種類がありますし、1万円以下で買えるものがあります。

例えば、SONYのMDR-NC33(http://www.sony.jp/headphone/products/MDR-NC33/index.html)は安いしお買い得かと思います。 ノイズキャンセリングヘッドフォンと言っても、ノイズが完全に無くなるわけではありませんが、道路から聞こえる低音は結構除去してくれます。 

投稿: JA1BBP/ 早坂 | 2009年9月 8日 (火) 22時27分

なるほど、安いものでもけっこう出てるんですね。
勿論周囲の音のすべてが消えるまでは期待しませんが、一度試してみる価値は有りそうですね。
情報ありがとうございました。

ラジヲは以前大魔王さまがここでご紹介なさっていたSONYの同じものを使っているのですが、最近イヤホンを完全に差し込むと音が出なくなり、途中までさして使っている状態です。
何でもこの手のものはジャックのところの半田不良で接触不良が多発するようですが、そのあたり半田付けをやり直しても小生の物は治りません。
買い替えかな・・・(悲)

投稿: ごんざえもんのすけ | 2009年9月 9日 (水) 07時56分

イヤフォンジャック部分の接触不良は、こちらも経験しました。
ラジオ側ジャックの内部にあるコンタクト部分を、ステレオミニジャックのオス側に接触しやすいように曲げたり接点復活材を吹きかけましたが、あまり効果はありませんでした。

その後、イヤフォンを別のものにかえたところ、さっきまでの接触不良がウソのように直りました。
ステレオミニジャックと、ラジオ側ジャック(メス)との勘合具合も微妙に影響することもあるようです。 直るかどうかは保証できませんが、駄目元で試してみる価値はあるかと思います。

投稿: JA1BBP/ 早坂 | 2009年9月 9日 (水) 22時34分

アドバイスの通りイヤフォンを違うものを用意して試しました。
あらっ? びっくり! 仰る通り嘘のようにちゃんと差し込んだ状態で音が左右から出ました。
う~ん・・・ しかし納得いかない治り方ですね~・・・
近いうちに好みのイヤフォンを買い求めたいと思います。

お騒がせしました。

投稿: ごんざえもんのすけ | 2009年9月11日 (金) 07時58分

>お騒がせしました。

いえいえ。イヤフォンの交換でトラブルが直ったようで何よりです。
確かに納得しない直り方ですが、直るんだから仕方ないですね。
というわけで、ウチのラジオもイヤフォンの交換以降、快調に鳴っています!

投稿: JA1BBP/ 早坂 | 2009年9月13日 (日) 21時08分

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